6月11日木曜日、大きな動きが2つありました。1つは公立高校の入試範囲の変更、もう1つは地元の中学校の今後の予定の発表です。今回は1つ目の話です。

 

文科省は以前から3年生の学習内容の削減を言明していました。それを受け県教委は中学3年生にアンケートを採り、木曜にその結果と削減内容を明らかにしました。具体的には公立入試の一般選抜の場合、数学「標本調査」・理科「環境(生態系など)」・社会(公民)「国際関係」が減りました。わかる方はわかるでしょうが、この程度なら減らした内に入りません。

 

数学の「標本調査」は内容が薄く1時間か多くても2時間で終わります。入試でも数年に1度小問で出るだけです。元々やってもやらなくてもいいような内容です。年間計画では5時間を与えられていますが、実際は5時間もしていないと思います。

 

理科の「環境」は入試でたまにがっつり出ますし、年間計画でも24時間を与えられており(実際はそんなにしていないはずですが)、これは少し減った印象があります。しかしメインである「生物・地学・化学・物理」は全く減っていません。

 

そして社会の「国際関係」ですが、年間計画では21時間を与えられています。しかし実際は3時間くらいで終わります。昨年の今頃(6月初旬)は日清戦争のあたりだったはずです。ちなみに今(11日頃)は黒船来航(江戸末期)あたりをしています。昨年でもこの先猛スピードで歴史の近現代史と公民を行っていました。今年の社会は例年以上に遅れています。公民の「経済」まで終わらせようとすれば誰もついて来れません。

 

ちなみに3年生の実態をご存じでない方のために書き添えますと、1月はほとんどが短縮授業です。1時限で終わる日もあります。つまり授業はほとんどできません。さらに学校は私立入試が始まる2月までに教科書を終える必要があります。つまり社会を普通に終わらせることは不可能です。もし無理して終わらせようものならテスト範囲が毎回莫大な量となり、子供がかわいそうです。さらに学校の実態として2月以降は入試対策のため社会ですら自習になります。こうした実態を県教委はわかってらっしゃるのでしょうか。

 

 

<減らせばいいというわけでもない>

同日、東京都も出題範囲を減らしたことを公表しました。数学で「三平方の定理」を丸ごと削るそうですが、それはそれでおかしな判断です。「三平方の定理」を知らなければ高校の数学が理解できません。また、「三平方の定理」を出さなければ図形の問題の出題範囲がかなり絞られてしまいます。

 

都教委は「最後にあるから削った」という安易な発想をしたような気がしてなりません。そもそも1つ前の教科書では「相似→三平方の定理→円」の順でした。もし前の教科書なら「円」を削ったのではないかと思います。ちなみに前回の改訂があった時、私は「円を先にするのはおかしくないか」と数学の教師を志望していたアルバイトの学生に尋ねたところ「数学科の同期も全員おかしいと言っています」という返事でした。理論的なこともあるのですが、最後にすると時間が足りずきちんと教えられないとのことです。それだけ「三平方の定理」は重要単元で削ってはいけないのです。

 

そして東京都も奈良県も「削減する内容は映像学習で自主的に行ってもらう」と言っていますが、入試の直前に入試に出ない内容を誰が勉強するのでしょう。

 

 

<今回一番お伝えしたいこと>

県や都がいくら出題内容を削減しても私立高校が削減しない限り現場の教師は無理をしてでも1月中に教科書すべてを終わらせます。つまり今回の削減は意味がないのです。

 

私は「3月卒業継続」でいくのなら「学習内容を大幅に削減すべき」と主張していますが、その削減とは「各単元での学習内容を減らす」というものです。どの単元も意味があり、単元丸ごとを削ることなどできません。例えば数学なら「応用問題を削る」、社会なら「細かい内容を削る」といったことです。先日3年生が「日米修好通商条約」で開港した5つの港を覚えていましたが、それってそんなに重要ですか。この条約で重要なのは「不平等条約」であったことであり、「治外法権」と「関税自主権」の内容がわかれば充分だと思います。時間に余裕があれば細かいことも知ればよいと思いますが、こんなところで時間を割いているから、例えば公民を1時間で6ページ(ひどい時は10ページ以上)進めるはめになるのです。

 

本来文科省がすべきことは、こういった細かい内容を「やらなくてよい」と指示することであって、地方に丸投げすると結局全部をするか意味のない削減をすることになるのです。そしてその結果、子供は普段より短期間で休みも削らされ「詰込み学習」をさせられることになったのです。

 

 

教育行政は子供達の健全な成長のために存在しているのではないのですか。「詰込み学習はよくない」と言っていたのは教育行政ではないのですか。「コロナだから仕方がない」で済ませてよいのですか。今回採った方策が子供達に与える影響を想定していますか。本当に子供達のために知恵を絞ったのですか。絞ってこの程度なのですか。

 

「子供の健やかな成長を願うあなた達が子供を苦しめているのですよ」と言いたいです。

 

次回は「地元の中学校が発表した今後の予定」です。

 

最後までご覧頂きありがとうございました。