前回は公民の必要性についてお話ししました。今回は現場である学校がどのように取り組んでいるかについてです。なお、私も情報となるのは中学3年生からの聞き取りだけですし、しかも1つの中学校だけですので一般論にはならないかもしれません。その点はご容赦ください。

 

 

1月22日、生徒から衝撃的な話を聞きました。50分の社会の授業で20ページ(経済の税金の話から経済の残りすべて)を一気に進んだそうです。この間のテーマは盛りだくさんで「税金」「財政」「景気対策」「社会保障」「公害と環境」「貿易と為替」など、到底50分で終わらせてよい内容ではありません。また別の先生は「時間が無い」という理由で、教科書に線を引くだけの授業になったそうです。別にその2クラスだけが特別遅かったわけではなく、どのクラスでも駆け足で授業がされています。またこうした話は昨年も一昨年も同様で、昨年の先生は「(すべてを終えることを)あきらめた」と仰ったそうです。

 

そもそも3年の2学期中間テストが「第二次世界大戦の始まり」からでしたので、公民が駆け足になるのは当たり前の話です。もちろん学校は3月まであるので一見時間がありそうにも見えますが、私立の入試が2月の頭にあり、その入試問題は公民の全範囲が出題されるので1月中に公民を終える必要があります。今年の公民は10月からスタートしたので1月まで4ヶ月。しかもその間は期末テストがあり、冬休みがあり、また1月はほとんど短縮授業です。学校は実質3ヶ月もない状況で公民1冊を終わらせようとしているのです。もっと早くに歴史が終わればこのようなことにはならないのです。

 

ではなぜこのようなことが起きるのか。理由は3つ考えられます。

 

 

1つ目は「地理・歴史の分量が多すぎて処理しきれない」から。

確かに私もこんなにやる必要があるのかとは思います。しかしそこまで処理不能な量でしょうか。

1回の授業で教科書の本文2ページを進んだとします。

その場合、地理は100回、歴史は90回で終わります。

つまり合計190回で地理と歴史を終えることができます。文部科学省は1・2年で合計210回社会の授業をするよう指導しています。すると2年あれば地理と歴史は終わらせられるはずです。もちろん教科書の本文だけが授業内容ではありませんが、中3になれば社会は週4回に増えます。それでも1学期で歴史が終わらないとなると、これは学校側の問題としか思えません。

 

2つ目は「入試で歴史のウエイトが高い場合が多い」から。

例えば、奈良県の公立高校入試は歴史のウエイトがかなり高いです。文科省の定める学習指導時間から比例配分すると地理17点・歴史19点・公民14点になるはずですが、過去3年間の配点は地理14点・14点・13点、歴史22点・19点(大問ベースだと23点)・22点、公民は14点・17点(大問ベースだと13点)・15点です。明らかに歴史のウエイトは高く、だから歴史に時間をかけているとも考えられます。しかしそれは教師としての資質を疑います。学校は塾ではないのです。

 

3つ目は「社会の先生が公民を重要視していない」から。

基本的に社会の先生は歴史が好きな方が多く、結果歴史の授業が長くなることも考えられます。しかし社会の教師であるなら公民の重要性に気づかれないのでしょうか。私は塾で公民だけ授業をしています。それは公民が好きだからではなく、公民が中学生にとって重要だと考えているからです。教える側の立場として「好き」と「重要」のどちらが大切でしょう。それとも内容的に中学生には早すぎるので高校の現代社会に任せようと考えておられるのでしょうか。実はそこにも問題があり、高校はどの教科・科目もそうですが内容が難しすぎて興味の無い生徒には何をしているのかさっぱりわからない、覚えることが多すぎて何が大切なのかわからなくなる、といったことに陥りやすくなります。さらには大学受験に必要ないから勉強しないと考える高校生もいます。私は中3の5月頃から学校で公民を教わり、高1の時に現代社会も勉強しましたが、その学習の意義を全く考えませんでしたし、当時教わったことも何一つ覚えていないのです。まして中学生の時に適当にしか教わらなかった高校生が高校の現代社会を理解できるとは到底思えません。

 

 

ここまで公民の時間が短すぎる理由を3つ書きましたが、実は正解はどれでもありません。本当の答えは「1・2年のテスト範囲が短すぎるから」です。毎回テストの度に範囲表を見ますが「いったい何をしていたんだろう」と思うくらいテスト範囲が短いのです。「このペースで終わるわけがない」というのは1年の時にわかります。たとえ相手が中学1年生であったとしても、50分で教科書2ページを進めることがそんなに難しいのでしょうか。私は現場で教えたことがないのでわかりませんが、もしどうやっても無理なのであれば、それは明らかに文科省に問題があり、教科書の内容を減らすべきです。

 

 

ところで今の中2ですが、2学期の期末までは昨年度と同じペースでした。したがってこれまでの中3と同じ目に遭うだろうなと予測していたのですが、3学期になって急にペースが上がりました。次のテスト範囲は最大で65ページになるそうです。気の毒のようにも思えますが、これは担当の先生が公民をしっかり教えようという気持ちの表れだと受け止めます。そうであるなら、これまでの3年よりはよほど恵まれていると思います。

 

 

次回は私の公民の授業を公開しようと思います。

 

最後までご覧頂きありがとうございました。